
オリゴ糖は腸内フローラの改善に効果的!
善玉菌のエネルギー源となるオリゴ糖を摂取し、年齢を重ねるごとに減少していく善玉菌の減少を食い止めましょう。
オリゴ糖と、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の違いや特徴をしっかりと把握していれば、自分にぴったりなサプリメントを選ぶこともできるはず!
アレルギーがつらい方や、腸の調子が常に悪いという方も、オリゴ糖を摂取して、まずは健康のかなめである腸内環境を整えましょう。
目次
■そもそもオリゴ糖とは? その効果を紹介
腸内環境を整え、健康効果をもたらすと言われているオリゴ糖。
でも実際にオリゴ糖がどんなものなのか、なぜ腸に良い働きをするのか、詳しく知らないという方がほとんではないでしょうか。
今回はオリゴ糖とその効果について、わかりやすくご紹介します。
●オリゴ糖は善玉菌の「エサ」!
そもそも「オリゴ糖」とは「糖類」の1種で「単糖」が数個結合したもの。
自然界にも存在している安全な成分です。
中でもよく知られている効果は、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌の「エサ」となること。
エサと言うと少し聞こえは悪いですが、つまりは善玉菌のエネルギー源になるという意味です。
オリゴ糖のカロリーは砂糖の約半分。糖の中では低いほうなのですが、これはオリゴ糖が消化液で分解されにくく胃酸への耐性を持っているから。
そのため、善玉菌の存在する腸まで届きやすいのです。
乳酸菌やビフィズス菌は、特に乳児の腸の中にたくさん存在しています。
これは母乳に含まれているオリゴ糖をエネルギー源として増殖しているため。
一般的にミルクで育った乳児よりも、母乳で育った乳児の腸内のほうが乳酸菌やビフィズス菌が多く繁殖していると言われています。
母乳のオリゴ糖は「母乳オリゴ糖」と呼ばれ、その種類は何と100種類以上。
しかし、いくらオリゴ糖が豊富だからと言って、大人が母乳からオリゴ糖を摂るには難しいものがあります。
そこで大人になってからはオリゴ糖を多く含む玉ネギ・ゴボウ・大豆・アスパラガス、そしてバナナなどの食べ物から摂取することとなるのですが……。
いくら砂糖よりカロリーが低いと言っても、オリゴ糖を充分に摂ろうとするとこれらをたくさん食べなければならず、ときにはカロリーオーバーになってしまう可能性も。
肥満やメタボは健康に悪影響を与えてしまうため、できれば腹八分目で充分なオリゴ糖を摂取したいところです。
そのためオリゴ糖を摂るならカロリーの低いサプリメントなどから摂取するのが効果的です。
●オリゴ糖と腸内フローラの関係
「腸内フローラ」とは腸内細菌が作る群生を表した言葉。
腸の中にはさまざまな細菌が住み着いていますが、それを顕微鏡で観察する菌がグループごとに集合し、まるで花畑を作っているようであることから名づけられました。
この腸内フローラは年齢や生活習慣、さらには人種により、個々に異なるものが腸の中に存在しています。
人の体に腸内フローラが出来始めるのは、赤ちゃんとして生まれてくるとき。
産道を通る瞬間に、お母さんからさまざまな菌を受け取り、それが赤ちゃんの体内で増殖していきます。
では、その前の胎児の状態ではどうかと言うと、赤ちゃんは無菌の状態。
生まれたあとは、母乳に含まれるオリゴ糖をエサにすることで腸の中の乳酸菌やビフィズス菌が増えていき、腸内環境が整うとともに腸内フローラが形成されていきます。
■腸内フローラを改善するために
幼児の頃から形成され始めた腸内フローラは、大人になってからでも改善することができます。
と言うよりは積極的に改善していかなければ、年齢を重ねるほどに腸内環境はどんどん悪化の一途をたどります。
腸内フローラは年齢とともに変化していくのですが、高齢になればなるほどビフィズス菌など腸内の善玉菌の数が自然と減っていくからです。
そして、その逆に増えていくのが悪玉菌。
悪玉菌の増殖を抑えるには、積極的に善玉菌を増やしていく必要があります。
では、どうすれば善玉菌を増やすことができるかと言うと、善玉菌のエサとなるオリゴ糖、それに食物繊維を豊富に摂ること。
最も簡単なのは、ビフィズス菌や乳酸菌に加え、オリゴ糖や食物繊維が配合されたサプリメントの摂取です。
ただし、オリゴ糖や食物繊維とは違い、ビフィズス菌や乳酸菌は胃酸などの消化液で分解されてしまうので、腸まで届く加工がしっかりとほどこされているサプリメントでなければなりません。
食品から摂取する際にも同じことが言えます。
例えばヨーグルトには乳酸菌が含まれていますが、胃酸などの消化液で分解されてしまい、なかなか生きたまま腸まで届きません。
ほとんどが異物とみなされ殺菌されてしまうからです。
しかし、サプリメントなどのように乳酸菌が腸まで届いた場合には、その乳酸菌がもともと腸内に生息していたほかの乳酸菌を加勢し、増殖の手助けをします。
これは乳酸菌を摂取することにより、その乳酸菌から生み出された物質が腸内フローラの善玉菌に良い影響を与えるため。
ヨーグルトでも乳酸菌を摂取できますが、充分な量を摂るためにはかなりの量を食べなければならないのが難点。
ヨーグルトは乳製品であるために脂肪分も含まれているからです。
食べすぎは逆に体に良くありません。
いくら体や腸にいいものだからと言って、食べ過ぎないように注意しましょう。
■善玉菌が減ると悪玉菌が増えてしまうのはどうして?
腸内フローラの菌の割合は、善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%。
お腹に生息している菌の数は約120兆個ほどであり、それ以上の数の菌は棲むことができません。
そのため勢力は常にバランスが取られていて、善玉菌が増えれば悪玉菌が減り、その逆に悪玉菌が増えれば善玉菌が減る仕組みになっています。
そして数多い腸内フローラの細菌群の中には、善玉菌でも悪玉菌でもない、「日和見菌」という菌も存在しています。
善玉菌も悪玉菌も名前の通り、人の健康にとってそれぞれ善玉や悪玉となる菌。
では、この日和見菌はどうかと言うと、こちらも名前の通り、形勢によって有利なほうにつくという中間的な特徴を持った菌なのです。
日和見菌は、腸内フローラで善玉菌が優勢である場合は特に害になりませんが、悪玉菌が増えてくるとそれに加勢してしまうのです。
このように3種類に分けることのできる腸内細菌のそれぞれを代表する菌は次の通りです。
- 善玉菌の代表的な菌:乳酸菌、ビフィズス菌
- 悪玉菌の代表的な菌:ブドウ菌、ウェルシュ菌、大腸菌
- 日和見菌の代表的な菌:バクテロイデス、連鎖球菌
腸内フローラを改善するためには、日和見菌が悪玉菌に加勢しないよう、常に善玉菌のエネルギーとなるオリゴ糖や食物繊維を摂取し続ける必要があります。
■腸内フローラの環境が悪いと起こること
次の項目に当てはまる点が多い人ほど、腸内フローラの環境は悪いと言われています。
- 冷たい飲み物や食べ物をよく摂る
- 便が黒い色をしており、水に沈む
- お通じが毎日来ることは少ない
- 寝不足
- ストレスがたまりやすい
- おならが臭う
- 野菜が嫌い
このような項目に当てはまる人は腸内フローラを改善するためにもしっかりと睡眠を取り、食物繊維が豊富な野菜を食べ、積極的にオリゴ糖を摂取しましょう。
●腸内フローラの悪化が肥満やメタボの原因に
肥満やメタボの原因というと食べすぎや運動不足が挙げられますが、近年になり3つ目の原因として腸内フローラが関係していることが明らかになりました。
次のような研究も発表されています。
肥満型の双子と痩せ型の双子を選び、腸内細菌が含まれるそれぞれの便をマウスの腸内に移植したところ、肥満型の便を移植したマウスは太り、痩せ型の便を移植したマウスのほうは太ることはなかったと言うのです。
これにより、肥満によって腸内フローラの環境が悪化したのではなく、腸内フローラで悪玉菌が増えたことにより肥満がもたらされたと証明されました。
また、腸内には無数の細菌が共生関係を作っていますが、それが傾くと肥満やメタボにつながりやすいとの研究結果もあります。
細菌の共生関係を崩す引き金となるのは、高カロリー高脂肪の欧米型の食事や、野菜など食物繊維の少ない食事、同じメニューを繰り返し食べるといった行為。
健全な腸内フローラの環境を保つためには、低カロリー低脂肪、野菜たっぷり、さらにはさまざまな食材を摂り入れた食生活を心がけることが大切です。
●血糖のコントロールと腸内細菌の関係性
アメリカの大学の研究によって、血糖のコントロールと腸内細菌には強い関わりがあることが明らかにされました。
研究チームは1年間にわたり、参加者に対し糖負荷試験を実施。
便を調べてみたところ、血糖コントロールが良好な参加者は腸内細菌が多く、中でも体に良いとされる善玉菌が数多く発見されたのです。
その逆に血糖コントロールが良好でない参加者の腸内には善玉菌の数が少なく、悪玉菌が増殖されていることも確かめられました。
この研究結果は、特に血糖コントロールの欠かせない糖尿病患者と医療機関にとっては関心の高いものとなりました。
腸内フローラの環境は、偏った食生活や運動不足、ストレスや喫煙など、生活習慣や加齢によって悪化することがわかっています。
腸内フローラに生息する腸内細菌は、それだけ人の健康の鍵となる存在なのです。
●腸は免疫細胞の拠点
人が起きているときも眠っているときも常に免疫細胞は働き続けています。
それはまるで人間の体内を守る警官のよう。
血流に乗って全身をパトロールし、交番や警察署のように拠点まで持っています。
心臓の上にある「胸腺」もその1つですが、これは思春期が終わるとしだいに小さくなっていく組織。
そしてこの胸腺に代わるようにして拠点としての働きを示すようになるのが「腸管免疫系」です。
そのため肺炎やインフルエンザなど腸とは何の関わりもないように見える病気でも、実際には腸での免疫細胞と深く関係しています。
さらに近年の研究によって、この腸管免疫系の生育に腸内細胞が大きく関わっていることが明らかになりました。
人間の体に存在している免疫細胞の約70%は腸に集中しているということもその証拠。
それだけ腸は免疫にとって重要な器官なのです。
腸に免疫細胞が集中している理由としては、腸が食べ物や飲み物など、外部から摂取する物に直接ふれ合う器官であるということも理由の1つ。
食べ物や飲み物など外部からの摂り込まれた物には、栄養だけでなくウイルスや細菌も紛れ込んでいます。
こうしたウイルスや細菌は腸の反応により体内に吸収されることなく、嘔吐や下痢といった症状によって体外へと排出されるのです。
腸の中でも特に免疫細胞は、小腸の「パイエル板」という、ひだとひだの間の谷のような部分に存在しています。
腸が免疫細胞の拠点である交番や警察署のようなものであるなら、パイエル板はその中でもSAT(特殊急襲部隊)の本拠地のような場所。
パイエル版は腸内に侵入したウイルスや細菌をあえて腸の壁の中、つまり体内に摂り込み、全身から集めた免疫細胞によって一斉攻撃を仕掛ける場所です。
ところが腸内フローラに悪玉菌が増えているとパイエル板自体の機能が低下し、それにともなって免疫細胞の働きも鈍くなってしまいます。
そうなると人間の体では免疫力も落ち、さまざまな病気にもかかりやすい状態に陥ります。
●腸内細菌と免疫の暴走・アレルギー
現在、数多くの研究者と研究機関から注目されている菌があります。
それが「クロストリジウム菌」という腸内細菌。
クロストリジウム菌には100種類以上の仲間がいて、体に良い働きをするものもあれば、悪い働きをするものも。
しかし、そんなクロストリジウム菌のうちの特定の17種類の菌が集まることにより、アレルギーを抑える物質を分泌することが研究により明らかになってきたのです。
このクロストリジウム菌を発見したのは、何と日本の大学教授。
健常な免疫細胞はウイルスや細菌へと攻撃を仕掛けますが、それが何らかのきっかけで興奮状態になると、本来であれば体に害のない花粉や食品にまで排除しようとするのです。
しかし、人間の体は実によくできているもので、免疫細胞が興奮状態に陥り暴走する場合があることを見越し、「制御性T細胞」(Tレグ)という細胞によってブレーキをかけています。
そして、この制御性T細胞を増やす働きを示すのがクロストリジウム菌。
実験では過剰な免疫反応が起こっている状態のマウスの腸の中にこのクロストリジウム菌を移植、その結果、免疫の暴走が抑制されて、アレルギー症状が軽減されたことが確かめられています。
すでにアメリカの製薬会社では、このクロストリジウム菌を取り入れた薬の開発も進んでいます。
■オリゴ糖の効果と腸内フローラの関係についてのまとめ
腸内フローラを改善するためには生活習慣を見直すなど色々な手段がありますが、オリゴ糖をサプリメントなどから摂取するという方法は最も手軽で効果的なもの。
普段の食事だけではなかなか腸まで生きたまま届けることの難しい乳酸菌やビフィズス菌と異なり、その栄養源となるオリゴ糖のほうが善玉菌の増殖には有効だぁらす。
しかもオリゴ糖は砂糖の半分のカロリーだから、ダイエット時にもぴったり。
免疫細胞が数多く存在する腸では、腸内フローラの悪化がさまざまな病気の引き金になることもあります。
オリゴ糖を充分に摂取し、腸内フローラの改善を目指しましょう。